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こんにちは~ サイトにおいでいただきありがとうございます。

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「フェリックスの冒険」9、10を更新しております。

前回ちょっとご連絡が漏れたのですが、本文中で「銀英伝にこんなようなフレーズあったよなあ」、みたいな表現がいくつかあるかと思います。引用符(カッコとか、“ ”こういうの)をつけて、銀英伝にあった文章を、そのまま使用するかどうか迷ったのですが、著作権の問題もあるし『似た表現』にとどめています。

『上官の代わりに悲鳴を…』、とかそういう表現の事です。今後も他にあるのですが、ちょっと文章を入れ替えただけとかなんですけどそういう理由でやってますので、はああ、そうか、と思っていただければ。

日本語って順序をいくらでも変えられて、それでも意味が伝わるんですよね~、不思議。とは言え、小説を書いていると、「なんだこれは、この順序じゃ読者が分かりにくいよ」、というような主語と述語が遠く隔てられた文とか書いてたりするんですけどね…。

(自分の小説だけど以下、ネタバレ)

フェリックスはどうやら初めてじゃないらしいんですが…。え~と、たぶん、久しぶり…とかなんですよ…。どうやらそのことについてレッケンドルフも気になっているみたいで、以下のような会話を電波(笑)で採取してきました。

まだ「フェリックスの旅」をお読みでない方は、「ヲイヲイ、何が起こってるんだ? どゆこと」という感じだと思いますが、こういう小説も書いておりますです。ネタバレを避けたい方は後で読んでね♪

「シャワーを浴びてきたらいいですよ。あと少し時間がかかりそうだから」

「時間? 何に?」

「甘いものが食べたくなったから、パンプディングにしたんです。あと10分もすれば出来ますよ。それともコーヒーを飲んで待ちますか?」

レッケンドルフはどこかに魔法使いの料理人が隠れているのではないかとでもいうように、きょろきょろとキッチンを見渡した。

「プディング? どこかで買ってきたのか? その格好で外に出たのかね」

彼の目にはフェリックスは人目にさらすのは憚るほど、寝室での名残をとどめて気だるげに見えた。フェリックスは眉を上げて男を見る。

「この格好? 変だったかな…。おなかが空いたから今朝の残りのパンを食べようかと思ったら、もうぱさぱさに乾いていたから、プディングにしたんです。どこかに牛乳と卵を買いに行こうと玄関を出たら、お隣のご婦人が貸してくれて…」

「ご婦人? ご婦人なんていたのか? 借りた?」

レッケンドルフは若いセクシーな有閑夫人を想像したが、フェリックスが続ける話を聞いて、おかしなことを言わなくてよかったと思った。

「お隣さんが誰かも知らないんですか? フラウ・ダニエラっていうおばあちゃんですよ。プディングに使う分くらい貸してあげるって申し出てくれて」

お隣はフラウ・ベヒトルスハイムという小金持ちの気難しい老婦人で、時々訪ねてくる息子夫婦としょっちゅう喧嘩している。一度は息子がドアの外で泣いているのを見た。

「ああ、お隣のあの老婦人か…。ダニエラなんて色っぽい名前の持ち主とは知らなかった。君、卵の貸し借りでそんなに親しくなったのか」

「卵と牛乳、シナモンもですよ。レッケンドルフさん宅に居候しているフェリックスですって自己紹介したら、ダニエラって呼んでって言ってくれたんですよ。かわいい素敵なおばあちゃんですね」

「君…」

ちょっとぽかんとした表情だったレッケンドルフがなぜか面白そうに笑い出したので、フェリックスは肩をすくめた。相手がシャワーに行くつもりがなさそうなので、コーヒーをカップに二人分注いだ。

そのコーヒーをありがたく受け取ってレッケンドルフは笑いを収めて言った。

「ああ、なんだか不思議な感じだ。君は本当にあの閣下とそっくりだ」

「もう顔のことはいいです。僕も父とよく似ていて変な気分だなあ、と思いますよ」

「顔の話ではないよ。確かにそっくりだが、ある意味では君と閣下は全く似ていない。その表情や雰囲気も…。だが、あの閣下も本当に驚くほどあらゆる女性の興味を惹きつける方だったね」

今度はフェリックスのほうがぽかんとした表情をした。そんな無防備な表情は、ロイエンタール元帥もミッターマイヤー元帥も持ち合わせていない表情だ。現代の若者だけが持ちうる、平和な時代の子供の特権だ。

「女性? 僕は別にそんなに女性にもてるってわけじゃないですよ」

「そうかい? あのパーティーに一緒に来た女の子は? 彼女の前にも誰かと付き合ったりしただろう」

「それはまあ…」

こんなことを根掘り葉掘り聞くのは自分をいじめるようなものだ。だが、レッケンドルフはこの青年についてもっと知りたい、と言う気持ちを抑えることが出来なかった。

オーブンがチーン、と出来上がりのチャイムを鳴らしたので、フェリックスはレッケンドルフから目をそらした。オーブンに屈みこんでレッケンドルフを見ずに言う。

「あなたの方こそ。きっと僕以外にも前に何人もいたんじゃないですか」

「まあ、士官学校のころや戦場に出ていたころはね。しかし、結婚後は妻がいたし、離婚してからはまったくそんな気になれなかった」

フェリックスはまだオーブンに屈みこんでいる。

「士官学校? それは男…?」

「最初は学校の1年先輩でね…。任官してからはほとんど女性が相手だったが。しかし私はむしろ、君の経験を聞きたいね。私が初めてではないだろう」

フェリックスはオーブンを開けて、レッケンドルフが自宅にそんなものがあるとは知らなかったガラスの容器を、たくさん重ねたタオルで天板から持ち上げた。こちらへ向いたフェリックスは、オーブンの熱気のせいだけとは思えない赤い顔をしていたが、小さくうなずいた。

「…ギムナジウムのころ、皇宮で侍従のアシスタントのバイトをしたんです。その時知り合った人。ほんの少しの間しか付き合わなかったけど…」

「ほう。皇帝陛下の侍従とね。ランベルツ君の同僚かな。どうして別れたんだい」

「別に喧嘩したわけでもなく、彼が出世して、どこか別の忙しい部署に出向になってしまったんです。兄さんの部下の一人だったんだけど」

「…もしかして、兄さんが何かしたと思ってるのか」

「たぶん…。彼も兄さんも僕には何も言わなかったけど。僕はまだ16だったから、彼が何かの責任を負ったのだったら、あんまりだと思って」

「そいつはいくつだった?」

「35くらいだったかな…。兄さんより年上だったから…」

レッケンドルフは憤慨した。

「ずいぶん年上じゃないか。そいつが責任取って当然だ、いたいけな少年をたぶらかすひどい男だ」

「そんなんじゃないですよ。僕は別にひどい目にあったわけでもないのに」

だが、フェリックスが顔を上げずにパンプディングを見ているので、何かその少年時代の思い出に影を差すようなことがあったのではないかと思われた。義理の兄が彼らを引き離したということだけでも十分傷つく思い出だろうが…。

なんでしょうね(笑)、なんかあったらしいです。これはいずれオマケでアップしたいな、と企んでおります。

それでは~

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