海軍小説のことなど
- seasonofmackerelsky
- 2014年11月9日
- 読了時間: 2分
英国海軍を舞台にした小説が好きです。
どういったジャンルの小説かというと、歴史小説と冒険小説、ドラマが含まれた主にイギリス発の時代小説です。
私が好きなのは、『オーブリー&マチュリン』シリーズという一連の小説で、作者はパトリック・オブライアン。
2003年に(ええっ、もうそんな前!?)、ラッセル・クロウ、ポール・ベタニーという渋い配役で『マスターアンドコマンダー』という映画にもなりました(お勧め)。
物語の舞台はナポレオン戦争の頃の英国と海です。主役はジャック・オーブリーという海軍士官と、医師で博物学者のスティーブン・マチュリン。二人は親友でジャックが新しい艦の艦長になると、いつもスティーブンを船医に任命して二人して世界の海へ航海していきます。
ジャックは豪放磊落、戦闘では頼りになる部下から慕われる艦長です。対してスティーブンは複雑な生い立ちで、ジャックと出会うまでにもいろいろ…あり、気難しい人物。まったく正反対の二人ですが、共通の趣味が音楽で、二人してよくバイオリンとチェロを艦上で暇なときにギーコギーコ(笑)奏でるのです。
そもそも一部の海軍ものファンからはいつまでたっても航海に出ない、といわれるくらい地上での描写が多く、しかし、当時の時代背景と生活に興味がある者にはそこが魅力でもあったりします。
ジェーン・オースティン風だと言われるくらいです。
(ジェーン・オースティン自身も海軍で提督にまでなった兄弟がおり、いくつか海軍士官が登場する物語を書いてますし)
ジャックは愛妻家で結構幸せな(しかし平凡な)結婚をしているのに対し、スティーブンは我がままでプライドの高い美女に長年恋をして何度も失恋すると言う、どこまでも対照的な二人です。
この小説の面白さは、それこそ世界の果てまで航海していき、博物学者のスティーブンと共に未知の世界を冒険したり、あるいはジャックと共に荒れた海を航海する船乗りの気分を味わったり、というところにあるのですが、同時に、正反対の二人の親友同士が送る平和な日常にも、この時代を切り取ったドラマとしての楽しみがあるのです。
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